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感染性胃腸炎の季節

 胃腸炎にはウイルスや細菌による″感染性“の胃腸炎とそれ以外のストレスや化学物質などによる″非感染性″の胃腸炎があります。感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などの病原体が口から消化管に侵入し感染することで発症します。感染性胃腸炎の多くは食品や汚染された水から感染しますが、人やペットとの接触により感染することもあります。胃腸炎といえば、ノロウイルスと思われるかもしれませんが、実は感染性胃腸炎の原因となる病原体は、それ以外にもたくさんあります。ノロウイルスは二枚貝、サルモネラ菌は鶏肉や卵、カンピロバクターは豚肉や鶏肉、病原性大腸菌は牛肉などから検出されることが多く、いずれも十分に加熱せずに食べることで発症します。一般的に、夏は細菌が繁殖しやすいため、細菌性が多く、秋から冬にかけてはウイルス性が流行します。体内に病原体が入ってから症状が出るまでの潜伏期間も病原体によって数時間〜2週間と様々です。

 感染性胃腸炎の症状は、病原体により多少異なりますが、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などです。細菌によっては血便が出ることもあります。感染性胃腸炎は、一般的には自然治癒するものがほとんどであるため対症療法が中心ですが、細菌性であれば抗生剤が用いられることもあります。下痢止めは毒素や病原微生物を腸管内に長くとどめ、病態の悪化を助長する可能性があり基本的には使用しません。

 感染性胃腸炎を予防するには、外出やトイレの後の手洗い、消毒が重要ですが、なによりしっかりと火が通ったものを食べることが大切です。家族が感染性胃腸炎になり、感染者の嘔吐物や便を処理する時には、ウイルスや細菌を吸い込んだり手を介して感染したりしないように手袋やマスクなどを着用するようにしましょう。ウイルスの種類によってはアルコール消毒に効果がない場合もあり、熱湯や次亜塩素酸ナトリウムが効果的です。胃腸炎の症状がある間は家族へ感染しないようにタオルの共有を避け、トイレの換気にも注意しましょう。

 感染性胃腸炎は幼児や高齢者の場合には、脱水症状に陥るケースも多くあり、時に重症となります。水分補給が充分できない場合は、点滴などの処置を受ける必要があります。また高熱が続く場合や血便がある場合には、便培養検査や大腸内視鏡の検査が必要になる場合がありますので、そのような症状がありましたら、一度当クリニックを受診ください。

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ゆうメディカルクリニック 院長
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2021年11月5日