大腸がんは検便だけで安心?
最近、大腸がん(結腸がんと直腸がん)の患者数は増加傾向で、男女合わせて第一位となりました。会社などの検診で「大腸がん検診」という名のもとに行われている便潜血検査、いわゆる『検便』ですが、はたして本当に大腸がんを発見するために適切な検査なのでしょうか?
便潜血検査とは文字通り便の中に血が混じっているかどうかを検査します。大腸がんの表面が脆く便で擦れて血が出やすいことを利用し、簡便で・安価に多数の人の検査ができるため、大腸がん検診に広く用いられています。便潜血陽性の方から大腸ポリープが見つかる確率が、50%前後、大腸がんが見つかる確率が2~3%程度といわれているため、たくさんの人から簡単に、病気がありそうな人たちを拾い上げるという意味では検便は適切な検査かもしれません。
しかし、大腸がんの患者さんで便潜血陽性ということは本格的にがんが進行している可能性もあります。さらに恐ろしいことに便潜血検査では進行大腸がんの10%、早期大腸がんの50%は陰性となり、見逃されてしまう可能性もあります。その点、大腸内視鏡検査は確実に進行がんを診断し、小さな大腸がんも早期発見することが可能です。他のがんの中には早期発見が難しいもの、発見出来ても完全治癒できないがんもありますが、大腸がんは大腸内視鏡検査で早期発見さえできれば完全治癒することができるがんです。さらに言えば、がんになる前の段階(ポリープ)で芽を摘むことさえもできるのです。つまり、大腸がんは数少ない“予防できるがん”なのです。
大腸内視鏡検査はつらいと言われる方もおられますが、当クリニックでは鎮静剤による麻酔を使用し、苦痛なく大腸内視鏡検査を受けれるように努めております。大腸がん検診で引っかかった人はもちろん、そうでない人も、一度大腸内視鏡検査を受けてみられる事を強くお勧め致します。
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