高尿酸血症について
しかし、高尿酸血症は痛風の原因になるだけでなく、腎障害や尿路結石、メタボリックシンドローム関連、高血圧、悪性腫瘍などの原因にもなります。特に30~40代の男性に多い病気です。
高尿酸血症とは、その名の通り血液中の尿酸の濃度が高い状態を指します。血液中の尿酸の濃度が高くなり、結晶化してしまうと、それが関節や腎臓などに溜まります。痛風発作はこの結晶化した尿酸が原因です。
痛風そのものは短期間で症状が治りますが、高尿酸血症を治さなければ、体内の尿酸結晶はそのまま存在し続けます。高尿酸血症を放置しておくと、痛風発作が再発したり、尿路結石ができたり、腎不全になって透析を受けることになる場合もあります。
しかし、高尿酸血症は他の生活習慣病と同様に、初期では自覚症状がないのが恐ろしいところです。将来の健康やお金、家族のことを考えると、早期に対策・治療を開始することが非常に大切になります。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症は、体内で尿酸の生産が増加することによる「生産過剰型」と、腎臓による尿酸の排泄が減少していることによる「排泄低下型」に分類されています。
要因としては、「遺伝的要因」と生活習慣などの「環境要因」があります。遺伝的な要因の場合は、個人によって治療方法が異なりますので医師と相談して治療方針を進めていきましょう。
環境要因としては、食生活や飲酒、ストレス、他の病気の影響、薬の副作用などが考えられます。食生活でプリン体を多く含む食品を好んで食べている以外にも、高カロリー食や食べ過ぎ、アルコールを摂取する量が多い場合は注意が必要です。また、ストレスや過度の運動なども尿酸値を上げる働きがありますので、生活習慣を改善するということが、予防や治療の第一歩になります。
高尿酸血症の診断基準・リスク
1.痛風関節炎・痛風結節
血清尿酸値が「7.0mg/dL」を超えると、痛風関節炎の発症リスクが高まります。基準値を超えたあとは、数値が高くなるにつれて発症リスクが高くなります。また、高尿酸血症の期間が長いほど、痛風結節はできやすくなります。
2.腎障害
高尿酸血症と腎障害とは密接な関連があると言われています。
血清尿酸値は慢性腎臓病(CKD)の発症や進展と関係しており、高尿酸血症は腎不全の危険因子になります。腎不全が悪化すると、透析を受けなければならなくなります。
3.メタボリックシンドローム関連
高尿酸血症はメタボリックシンドロームの診断基準には含まれていませんが、メタボリックシンドロームの周辺兆候であると言われています。血清尿酸値が上昇するにつれてメタボリックシンドロームの頻度は高くなり、メタボリックシンドロームの構成要素が増えるにつれて血清尿酸値は上昇します。
4.高血圧・心血管系疾患
血清尿酸値は、将来における高血圧発症の予測因子として捉えることができ、関係性が深いです。また、生活習慣病治療に伴う血清尿酸値の上昇及び低下がそれぞれの心血管イベントに影響を与えていると考えられています。
高尿酸血症と痛風の治療について
治療は、生活習慣の改善とともに、薬物療法を用いるのが一般的です。薬には、痛風発作に対する治療薬と、尿酸値をコントロールする薬があります。これらの薬を処方する際には、尿路結石の既往歴や腎機能に障害があるかどうかなどで、判断が変わってきますので、医師や薬剤師の指示にしたがうようにしましょう。
また、1日の尿量を増加させるために、飲水量を増やすこともあります。
生活習慣などの環境要因についての治療では、原則として食べてはいけない食品はありませんが、アルコールやプリン体の多い食品は控えるようにしましょう。それ以上に、偏った食事や食べ過ぎには注意が必要です。高尿酸血症は、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの他の生活習慣病と高い確率で合併すると言われていますので、エネルギー過多や塩分過多にならないように、普段の食生活から生活習慣を少しずつ改善していきましょう。